独り言をぶちぶちと…。


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ビョーク、フェミニズムを語る

英国高級紙・ガーディアン日曜版のThe Observerより、ビョークのインタヴュー

'Maybe I'll be a feminist in my old age'

by Liz Hoggard
Sunday March 13, 2005

ビョークに関してニュートラルでいることは不可能だ。彼女の批判をする人はいくつも手段を提供されている。彼女はローストした海鳥を食べる。彼女は馬鹿げたファッションセンスをしていて、ノルディックとモックニーを混ぜて喋る。スピッティング・イメージが彼女の人形を作った。彼女は公開の立ち回りをバンコクの空港で演じた。息子に近づき過ぎたカメラマンとだ(ビョークが女性の頭を床に叩き付けている写真が世界中に配信された)。映画監督のラース・フォン・トリアーなどは彼女が『ダンサー・イン・ザ・ダーク』撮影中に自身の洋服を食べようとしたと証言した。

けれど多くの人にとっては、80年代末の英国音楽シーンへの彼女の登場(アイスランドのパンクバンド、Sugarcubesのメンバーとして、後にソロアーティストとして)は一服の清涼な風だった。私達はこれほどエキゾチックでカウンターカルチャーな人物--しかもよりによっておさげ髪の--はLene Lovichの時代以降見たことがなかったのだ。無遠慮に言えば、ロック界の女性は「ベイブ」か「問題児」なのだが、ビョークはスパイク・ジョーンズが監督した1995年のPV、'It's Oh So Quiet'(1940年代MGMミュージカルのダンスステップを見せた)で通りを全力疾走して見せ、彼女が性的なステレオタイプなぞに関わるつもりがないことを明確にした。モデルのように細くもなく、様式的にゴージャスでもない、彼女のステージでの魅力は透き通ったヴァイタリティにある。

彼女の唯一の「弱点」は男性との関係と見受けられる。SugarcubesのベーシストThor Eldonとの彼女の結婚は彼らの息子が赤ん坊の頃に終わった(彼女は22歳にしてシングルマザーだった)。ゴールディーとトリッキーのバッドボーイズとの破られた婚約もあったが、誰も彼女と知的にはにマッチしないように見えた。
そんな時、4年前、彼女はアメリカのマルチメディアアーティストMatthew Barney(フィルムのシュールなCreamaster Cycleで最も知られている)と出会った。現在、彼らはマンハッタンからハドソン川を越えたところにあるノエル・カワードのかつての家に、赤ん坊の娘イザドラと住んでいる。これは本当の変人同士の結婚に思える。Barneyは扇動マスター(2003年に彼はニューヨークのグッゲンハイム美術館をタピオカと石油ゼリーとビーワックスで埋めた)で元アスリートとモデルと医学生だ--だから彼の会話が退屈でないことは察しがつくだろう。

この夫婦はプライヴァシーを凶暴なまでに守るが、初めて一緒に仕事に取り組んでいる。ビョークはBarneyの6月に日本で先行公開される新しい映画Drawing Restraint 9のサウンドトラックを書いている。「自分の事だけじゃないプロジェクトをやるのはとっても解放的よ」彼女は感激している。「つまり、私は凄くパーソナルなシンガーソングライターでいることが大好きなんだけど、科学者とか冒険家でいることも好きなのよ。」

私がインタヴューのために到着した時、彼女はソファーに靴を脱いで寝そべってツナサラダ(今日は海鳥じゃなかった)を食べていた。彼女は突然、大事に思っているふたつのプロジェクトについて話した。ひとつは、最新アルバムMedullaのために撮影したヴィデオのDVDを発売すること。このアルバムは広く表現形式への回帰と捉えられた。このヴィデオはビョークが50kgのアレクサンダー・マックイーンの小さなベルで覆われたドレスを着た、それから乾草の俵(どういうことか聞かないで)の姿をしたビョークの映像でいっぱいだ。最高なのは彼女のシングルTriumph of a HeartのためのジョーンズのPVのメイキングを追ったドキュメンタリーだ。この作品はひとりの女性と彼女の関係恐怖症的な恋人(ニーチェという名のぶち猫が演じる)の日常を題材にしている。ビョークのアーティストの友人がウォッカを飲み干しヨーデルしている狂ったアイスランドのバーでアクションがやむ。これはビョークとパブめぐりをしているようなものだ。

当然彼女はジョーンズやミシェル・ゴンドリーと仕事をしていた。彼らがハリウッドスターになるずっと前から。私達はゴンドリーの映画『エターナル・サンシャイン』の成功について話した。「ミシェルは素晴らしい仕事をしたわ。彼はおっきな心を持った、とても活発な女性であるケイト(・ウィンズレット)に、たくさんの余裕を与えたのよ。普通、映画で女性を見ると、みんな金属の建物を纏ってるみたいに感じられるものだけど、みんな男性のエナジーに閉じ込められてるっていうか。でも彼女は制限なく彼女のフルヴォリュームでいられたの。」女優に冷酷にあたることが大好きなフォン・トリアーとの比較にも聞こえる。

真のファッション・ラディカルであるビョークは川久保玲やソフィア・ココサラキ(彼女が2004年のオリンピックで纏ったカーテンを作った人物)を支持する。彼女は決してジーンズとTシャツを着ない、と彼女は言う。何故ならそれらは「アメリカ白人の帝国主義のシンボルで、コカ・コーラを飲むようなもの」だから。彼女の有名なファッションの失敗は2000年のオスカーへ白鳥の衣装を着て行ったことだ(彼女は概念的なジョークだったと主張する)。彼女もエキセントリックであることに飽きたりするのか?「音楽と似てるわ。自己表現の形式だったら、私はのめり込むけど、権力のステータスだと駄目ね。私は無名のデザイナーのものを着るようにしてるの、それで必ずお金を払うようにしてるわ。だって、私にはお金があるんだもの。」

今日の彼女はヴィンテージの黄色いほとんどドレスに近い服をオレンジのトラックスーツの上着と銀色の靴と金色のハンドバッグで飾っている。青いアイシャドーが羽毛のような睫毛と素晴らしいフラットな頬骨を際立たせている。彼女は素敵だ。けれど、彼女はまた可愛らしくもじもじしている。小さな子供のように引っ掻いて、イスの中でもぞもぞしながら彼女のドレスを質素に保とうとしている。

しかし、シリアスな一面も感じられる。ビョークのもうひとつのプロジェクトはチャリティーアルバムで、全ての収益がユニセフへ送られる。彼女の1995年の曲Army of Me(これまで最もカヴァーされた曲だ)のカヴァーとミックスのコレクションだ。彼女は自身のウェブサイトにメッセージを載せ、ファンに曲を提出する期間を一週間与えた。そして600曲を20曲にまで削った。その喧嘩腰の歌詞(「もう一度不平を言って御覧なさい、私の大軍が来るわよ」)ながら、この曲は定評あるビョークのスタイルだ。厳しいが柔らかい。そしてこの曲は普通でない解釈を引き出した。カナダの過激なメタルからカントリーまで。

彼女はこの経験が彼女を謙虚にさせたと言う。「私はマンハッタンの12階で色んなヴァージョンを聴いていたの。その時、窓の中がみんな見えてた。その時急に思ったの、世界中のあらゆるベッドルームでみんな色んなことをしてるんだって気がついたの。それからは、人の家の前を通りながら『誰かがカウチポテトしてて平凡な人生を送ってるだけの場所なんだわ』って思うのはやめたわ。」

彼女はここ数年チャリティーアルバムを計画していた。しかし東南アジアの津波における絶望が触媒になった。他の人道的な悲劇が無視されるなかで、この件に関して人々がこれほど強く反応したのは何故だと彼女は思うのだろう?「ブッシュの選挙のたった一ヶ月後に起きたからだと思う。津波によって人々は再構築について意見がある、自分達は何かを変えられるって思わせられたのよ。ヴェトナム戦争以来初めて一般の人に世界的に共通の意識が芽生えたの、この世界を牛耳ってる奴らに同意しないって。」

自称「パンク・アナーキスト」である彼女も、イラク戦争により政治的になったと感じるようになった。「私みたいにニュースを追い掛けない人間も、突然毎日ネットを探すようになったわ。ただ何が起こってるのか知りたくて。あなたはどうか知らないけど、何をしてても、音楽業界の人とか配管工(私の家族の多くは電気技師か大工なの)と晩ご飯を食べてても、みんな戦争の事をそれに反対だとか賛成だとか話してるの。誰もが意見を持ってるの。だから、とっても破壊的で悲惨なことが続いてるけど、いい事はみんな言いたい事があるってところね。」

「ずっと私は隅っこで誰も興味を持たないようなオタクじみたことに執着してたの。私の性格にオタク・ファクターが組み込まれてるの。だから、一度でも私はみんなが興味を持ってる事に興味を持てた。政治を知ってるように話すつもりはないわ、私は完全なアマチュアだから。でももしかしたら私は普段政治に興味がない人のスポークスパーソンになれるかもしれない。」

彼女の最新アルバムMedullaは最も政治的だ--ユニークな形で。彼女は人間の声だけがヨーデルやビートボックス、アイスランドのコーラス音楽を奏でるアカペラアルバムを出したのだ。それは、彼女は言う、「間抜けなアメリカの人種差別と9/11後の愛国主義」に立ち向かう手段だった。「私は『人間の魂はどうなったの?文明とか宗教とか国家みたいな不確かなものに関わる前には何があったの?』って言ってたの。」

Medulla(ラテン語で「髄」)の他の主要な影響はビョークがイザドラを妊ったことだ。このアルバムは感動的で本能的な誕生についての歌で満ちている。
「自分の筋肉とか骨に本当に意識的になったわ。身体が占拠して凄いことをするのよ。」39歳の現在、ビョークは現代的なギャップ・マザーの一例だ。3歳の娘と18歳の息子(シンドリは現在レイキャヴィクで父親と住んでいる。ビョークもそこで年の一部を過ごす)を持っている。

「私にとって、女の子を育てるっていうのは興味深いことで。おもちゃ屋にいくでしょ?女の子のキャラクターがいるわね、シンデレラに美女とか野獣の女の人--彼女達の重要な任務は白馬の王子を見つけることなのよ。で、私は、ちょっと待ってよ今は2005年よ!って感じなわけ。私達はパートナーを通じて生きるだけじゃなくて意見を言うために戦って来たのよ。それなのに2歳の女の子に、可愛いドレスを見つけるのが大事なこと、なぜなら王子様があなたを選んでくれるから、っていうメッセージが押し付けられてるのよ。私のママも私が小さい頃に言ってたことだけど--あまりのことに私は吐きそうだった--でも彼女は正しいの。」

彼女は家庭年ごとの両立の問題についてもオープンだ。「自然が女性に人の面倒を見るようにセットしてるのは凄いことよ、それでも女性が自分達の面倒をみるって部分はトリッキーなの。」若干彼女自身も驚いているが、彼女は女性の権利に興味を持ちはじめている。彼女の母親の闘争性のせいだ--「彼女はキッチンには入らなかったの。それで、彼女は別方向に反応したの、大好きな家事は編み物と縫い物よ。」

しかし最近になり、「私とか女友達にとって両立が男性にとってよりどれだけ大変か気付きはじめたの。1990年代には、楽観的な空気だった。私達はついに男性と女性が対等な権利を区分できたって思ってた…でもそれは突然壊れてしまった。何百回もインタヴューやってきて、私がフェミニストの仲間入りをしたのは実は初めてだと思うわ。昔はいつも話題を変えたがってた。でも今こそこういう問題を持ち出す時だと思うの。そんな時じゃなきゃよかったと思うけど、でも私やる、汚い仕事も喜んでやるわ!」

このことは新しい曲をインスパイアする?「確実に私の中で企まれてるわ。Medullaが私のパーソナルで風変わりな政治的声明だったとしたら、次にやることは私のエキセントリックなフェミニズム観になるでしょうね。有名どころの動乱みたいな感じよ、フランス革命か1970年代の私にとってのパンクかっていうような。退廃をブチ壊して悪いことを全部ブチのめして、それで新たにスタートできるの。でも自然の摂理で物事はまた落ち着いちゃう。だからみんな自分をチェックし続けないと。いつまで経っても『オーケー、堕落を片付けたぞ、みんな平等だ』なんて言えないのよ。だから、年を取ったら私はフェミニストになるかもしれない。」

Bjork Gudmundsdottirとしてレイキャヴィクに1965年に生まれ、彼女はヒッピーのコミューンで母親とブルースミュージシャンの義父に育てられた。「私は母親が私のために自分を犠牲にしたように感じながら育てられた。幸い、今は地元でホメオパシーのちょっとしたビジネスをやってるけど、彼女はもうすぐ60歳で。私は今でもその罪悪感から立ち直ろうと必死なのよ。私の赤ちゃんにはそんなことを感じないで欲しい。」

神童の彼女は、11歳にして最初のアルバムをリリースし、Sugarcubesの最初のシングルがグローバルにヒットして18歳にならないうちに世界ツアーをしていた。彼女は何年もロンドンに住んでいたが、2000年にニューヨークへ逃亡した。英国のタブロイドと21歳の「ファン」が彼女のレコード会社へ酸性爆弾を送りつけた後自殺する様子を録画した悲惨な事件に追われたのだ。

移民仲間のデイヴィッド・ボウイと同様に、彼女はニューヨークの匿名性を好む。「タブロイドが1誌しかない、4誌が競い合ってないところ」。彼女は断固としてセレブのパーティーを避けているが、いつか子供のための音楽学校を運営したくなるかもしれない。「私の一部はみんなが思ってるより保守的なんでしょうね。私は自分の馴染みの弦楽カルテットが好きで、軽々しい音楽は全然好きじゃない。」彼女はちょっとだけロンドンに戻ることに未練があるように見える、私達に会いたがってる?「ロンドンは大好き。私がアイスランドにない唯一のもの、コスモポリタンな生活を求めて最初に引っ越した先になったのは偶然じゃないわ。住民が批判的だし、容赦ない人たちよね、応援すべき時に叩きのめすのよね。でも批判はいいこともある。それにコメディ好きの国ね。今週、BBCの最高の瞬間投票を見たんだけど、トップ5がみんなThe Officeとかモンティ・パイソンとかコメディだったのよ。イギリスの人たちは上から堕落をすくい取って中にある健全さを露にするのがとても上手よね。イギリスでは何でもピュアじゃなきゃいけない。」彼女はニヤリと笑う。「あなた達って嘘でごまかしたりしないのよね。」

Medulla: DVD及びArmy of Meは5月にOne Little Indian Recordsよりリリース予定。

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いいインタヴューだなぁ。私もTシャツ+ジーンズやめようかな(単細胞発言)。
しかし、シンドリがもう18歳ってのは衝撃だなぁ。ビョークと温泉入ってる写真が可愛いかったっけ…。

あのー、男女平等については色々言われてますよね。
個人的には特に男性の側から「既に女性は充分権利を勝ち取ってる」みたいな発言がされてるのが気になるんです。
何か「こいつら女に生まれてみるまでわからねぇのかなー」とか絶望的な気持ちになります。
ちょっと前まで「女は綺麗にして、男を立て、家事をやり、貞淑でいなさい、そうすれば男が養ってくれます」
という図式だったのが、不況の煽りか
「女は綺麗にして、男を立て、家事をやり、仕事もバリバリやりなさい、そうしないと負け犬になりますよ」
という脅迫の図式になってきている気がします。
個人的には、家事もできない(この「できない」ってのがまず理解不能)男と暮らすくらいならひとりで心安らかに暮らした方がよっぽどいいと思うし、家事は働いてても女が全部やるのが当たり前という認識の人間は軽蔑するですよ。
とりあえず、一番手っ取り早いところから。

世の息子を持つお母さん。家事は娘だけでなく平等に息子にも手伝わせましょう。息子を持つお父さん。あなたが率先してやらないと説得力ありません。
勉強だけやらせていい大学、いい就職をさせたところで息子さんと結婚してくれる女は出てこないかもしれませんよ。


大体、旦那が嫁を大事にしないから息子依存の気持ち悪い母親が減らないんだよな。
あー、根深すぎてやる前から疲れちゃうわ。
国自体(主に政治家)が少子化で結構、と思ってる節がある(出産費用って国は出さんのだよね?しかも産科・小児科の医師は減る一方なのに何もしてないんだよね?)から、日本人そのうち絶滅するかもなーとぼんやり考える今日この頃。
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by boozer_from_hell | 2005-03-17 00:35 | 音楽